坂本 のどか
写真:小野 博史
2026年2月28日(土)から3月8日(日)にかけて、TODA HALL & CONFERENCE TOKYOにて開催された文化庁メディア芸術クリエイター育成支援事業成果発表イベント「ENCOUNTERS」。「国内クリエイター創作支援プログラム」採択クリエイターの展示をレポートした前編に続き、後編では「国内クリエイター発表支援プログラム」採択クリエイターの展示の様子を伝えます。

「国内クリエイター発表支援プログラム」は、より活動実績の浅いクリエイターにも門が開かれた、発表機会の創出を目的としたプログラムだ。令和7年度は24組のクリエイターが採択された。
大学卒業後など、教育機関を離れて個人で発表の場を得るにはある程度の資金が必要となる場合が多く、作品はあっても発表の場が得られない若手クリエイターは少なくない。採択クリエイターにはすでに実績のあるクリエイターはもちろんのこと、本支援事業を通して初めての個展に挑戦するクリエイターもいる。年度内にクリエイター自身で発表の場を設けることが支援の条件とされているため、成果発表イベントではその再現をはじめ、記録映像の上映や資料展示などを通して発表の報告を行うクリエイターが多い。
今宿未悠氏による、体験者が大きな圧縮袋におさまり圧迫感を味わう装置『Pressure-Pleasure』や、DJ犬映画氏による鼻に着目したVR作品『TECH-NOSE-CODE』、モーションキャプチャーを装着しアバターとともにフルマラソン42.195kmを走破するJACKSON kaki氏によるパフォーマンス作品『42.195kmの分離する身体』、川畑那奈氏によるアニメーション作品『地の内臓』など、身体や知覚への探究を感じさせるプロジェクトが多く見られたのは今回の特徴といえるだろう。







ダンサーがサッカーを模した競技を繰り広げる豊田ゆり佳氏による観戦型ダンス作品『Organized Play オルガナイズド・プレイ』、独自の泳法「ミジンコ泳法」の実践を大会の開催を通して展開した松村寛季氏のプロジェクト『第1回ミジンコ水泳競技大会』は、スポーツをモチーフにしたプロジェクトだ。


菊永絢音氏による『《聴覚奏法》』やMike Sekine氏による『声の楽器と耳のロボットによるサウンドインスタレーション/speaking instruments and listening robots』など、聴覚に着目し楽器の制作や演奏を行ったプロジェクトも見られた。



清水愛恵氏による『東京観測』や志村翔太氏による『モビル文学』、鈴木椋大氏による『電車エレクトロニカ~神戸篇~「阪神電鉄とラジオと街 みんなを乗せていくよ」』、永田一樹氏の『ベッドタウン・AI』は、テクノロジーを介して、街や都市、環境に向き合うプロジェクトだ。




orm(藤井智也+高橋ちかや)氏による『Wonderland』や小川柚帆氏による『まぼろしの家族』は、家族や家庭に向き合ったプロジェクトだ。


前年度創作支援プログラムで作品をかたちにし、今年度発表支援プログラムの支援を受け発表の場を得たクリエイターが3組見られた。



そのほか、花火師によるプロジェクトや青森のイタコ文化に着目したプロジェクト、多言語マンガの展開など、多彩なプロジェクトが並んだ。







会期中は各クリエイターによるトーク、パフォーマンス、ワークショップを実施したほか、次世代のクリエイター向けのセミナーや、短編アニメーション分野の人材育成を推進する連携プログラム「New Way, New World: Program for Connecting Japanese Animators to the World」による上映やトークイベント、国際的に活躍できるメディアアートクリエイターを育成・支援するプログラム「WAN: Art & Tech Creators Global Network」によるトークイベントも行われた。
information
令和7年度 文化庁メディア芸術クリエイター育成支援事業
成果発表イベント「ENCOUNTERS」
会期:2026年2月28日(土)~3月8日(日)11:00~18:00(最終入場17:30)
※2月28日(土)、3月6日(金)、7日(土)のみ11:00~19:00(最終入場18:30)
会場:TODA HALL & CONFERENCE TOKYO
入場料:無料
主催:文化庁
https://creators.j-mediaarts.bunka.go.jp/encounters-2026
※URLは2026年7月23日にリンクを確認済み
>新進クリエイターの現在地 令和7年度文化庁メディア芸術クリエイター育成支援事業成果発表イベント「ENCOUNTERS」レポート[前編]