令和7年度 報告会・実施報告書「アニメアーカイブ連絡調整会(AACC)の拡充と、多種メディアへのOCR適用」一般社団法人日本アニメーター・演出協会[JAniCA]

報告者:一般社団法人日本アニメーター・演出協会[JAniCA]事務局・事務局長 大坪英之

今年度の成果

今年度の事業は大きく3つの目的で実施した。まず、アニメアーカイブ連絡調整会(通称AACC)の拡充として、中間制作物の保存に関する相談窓口の広報活動を行った。「マチ☆アソビ」(徳島県)や「アニメフェス仙台2025」などのイベントにおいて講演したほか、「のこす!いかす!!マンガ・アニメ・ゲーム展 in Tokyo 2025」(国立新美術館)に協力し、マンガ分野やゲーム分野との連携を進めた。研究者との情報交換を行うなど学術機関との連携も進め、データの整理方法などについての需要があることが分かった。 次に、OCR技術を活用したクレジットデータ採録の効率化を図った。AI技術を導入し、より正確で迅速な処理ができるようになることを目指した。1995年放送の作品で試したところ、画質が粗くても高い精度でクレジットを採録できたが、AIの利用にはコスト面の課題がある。2025年に採録したデータの一部はメディア芸術データベース(MADB)に提供し、広く利用されている。

次に、VHSやフィルムなどの古いアナログ素材をデジタル化する体制を整えた。その中で、1960年代放送の『0戦はやと』の16ミリフィルムと音声シネテープ、テロップカードが発見され、後にテレビドラマで著名になる脚本家・倉本聰氏が脚本を手掛けていたことを確認できた。うわさでは知られていたものの、実際の素材で確認できたのは初めてである。また、35ミリフィルムから16ミリフィルムへの移行期間が、通説より7年ほどさかのぼる可能性も出てきた。デジタイズ作業を進めることで、今後もこうした歴史的な発見があると考えられる。

6つの課題

今年度、本事業では、次の課題を認識した。①「データ収集・システム関連」については、OCR技術を活用したクレジットデータ採録の精度と処理速度を向上させる必要があり、また、複数の担当者で業務を分担できるような組織的な運営体制へと移行する必要がある。次に②「組織・連携関連」については、公的な窓口として広く相談を受けられる体制を整える必要がある。③「学術と人材育成」については、教員・研究者への趣旨説明の機会が少なく、学術利用での成果が不足している点と、意欲のある学生を受け入れる体制が未整備である点が課題である。④「事業の意義・利活用」については、本事業が何の役に立つのか、どんな便益があるのかといった説明が不十分であると考えている。⑤「ハードウェアと映像素材におけるデジタイズ技術」については、ビデオデッキの製造が終了し、中古市場での価格も上昇しているため、早急に機材を確保する必要がある。また、録画素材の所有者と映像権利元の理解と協力獲得が必要である。さらに当時の映像技術を詳しく知っている専門家への依存度が高いことも問題である。最後に⑥「AI」については、外部サービスの高性能AIはコスト負担増の可能性が大きいことや、正確性の担保に課題がある。

次年度以降の取り組み

個人に依存した運営から組織的な運営への移行を推進して、持続可能な運営体制を構築したい。また、AACCの相談窓口の広報活動を強化し、製作委員会との協力体制を拡大する。技術システムの改善に向けては、OCRシステムの技術改良を継続し、AI活用によるさらなる精度と効率の向上を目指す。また、機械学習技術やデジタルアーカイブの専門家育成プログラムを開発することを目標に、学術機関との連携を強化し、研究者や学生の受け入れ体制を整備したい。そして、事業の意義を明確に説明する資料を作成し、関係者に周知したい。デジタイズに必要となる再生機器は早期に確保するとともに、製造終了機器の調達とデジタイズ作業の費用の確保について、さらに検討していく。素材所有者や権利元との信頼関係を構築するため、作業フローを確立する。加えて、テレビ放送以外の、特に配信プラットフォームからのクレジット採録体制を構築していく。

大坪氏

※URLは2026年11月4日にリンクを確認済み

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