マンガを観る体験 欧米におけるマンガ展示の変化

小田切 博

2024年5月から6月にかけて、フランス・アルザスのヨーロッパ・マンガ・アニメ・ミュージアムで開催された「かわぐちかいじ展」の様子

欧米における「マンガ/コミックス」の文化的地位

フランス、パリにあるヨーロッパ最大の複合文化施設の一つ、ジョルジュ・ポンピドゥー国立文化芸術センター(Centre national d’art et de culture Georges-Pompidou)において2024年5月29日から11月4日まで大規模連続展示「コミックスの諸相(La BD à tous les étages)」1が開催されている。

これはフランスに限らず日本、アメリカのコミックス(連続絵画/シーケンシャルアート)表現の包括的な歴史をまとめた中核展示「コミック・ストリップ1964–2024(Bande dessinée, 1964–2024)」を中心に、ヒューゴ・プラット(Hugo Pratt)の名作『コルト・マルテーゼ(Corte Maltese)』の歴史を振り返る回顧展や現代の作家たちと過去の名匠たちの作品を対比的に展示した「コミックス美術館(La bande dessinée au Musée)」などのテーマ展示、ワークショップ、トークイベントなどを組み合わせた期間的にも長期にわたる大規模なものだ。

ポンピドゥーセンターは1969年から1974年に病没するまでフランス共和国大統領をつとめたジョルジュ・ポンピドゥー(Georges Pompidou)の構想をもとに建設されたもので、1977年のオープン以来、館内施設の一つである国立近代美術館はルーブル美術館、オルセー美術館と並ぶパリ三大美術館の一館としてヨーロッパを代表する近現代美術のコレクションを収蔵している。

三大美術館の一画であるルーブル美術館ではコレクションを一般にプロモーションする意味も込めて、世界各国のクリエイターが参加した描き下ろしグラフィックノベル刊行企画「ルーブルNo.9」を行っているが2、こうした「美術」の側がマンガのポピュラリティーをプロモーションのために利用しようとしているケースと異なり、国立近代美術館で「マンガ/コミックス/バンドデシネ」をテーマにした大規模な展示が行われていることは、ヨーロッパにおいて改めて「マンガ」が近現代美術として認知されたという意味合いを持つものだろう3

フランスでは1974年のアングレーム国際マンガ祭の立ち上げ以降、名目上「第九芸術」としての文化的地位を得ていたわけだが、アングレームという都市がマンガを軸にした都市開発、文化政策実践の舞台となってきたこと自体、1959年のシャルル・ドゴール政権下での文化省設立からのフランスにおける文化政策の流れに則ったものだといえる4

今回、こうした地方分権的な文化政策の文脈ではなく、フランスの文化的中心であるパリで、「近現代美術」として「マンガ」が大規模な回顧の対象となっていることは、ヨーロッパにおける「マンガ/コミックス」の文化的地位の見直しと再評価を象徴するものと捉えられるのではないか。

「マンガ」を展示する環境の変化

筆者は2023年度、文化庁の求めに応じて欧米における日本マンガの展示企画についての調査を行った。

これは日本の「マンガ」という文化を諸外国に対してプレゼンテーションしていくにあたっての基礎資料づくりの一環であり、現段階では網羅的なものではなく、アメリカ、ヨーロッパにおいて過去どういう展示が行われていたかをネット上に現存する情報を使って拾っていった予備調査的な位置づけのものに過ぎない。

そうした不完全、不十分なものではあれ、そのような調査を行うことから見えてくるものもあり、その一つがアメリカ、ヨーロッパにおけるマンガ(これは日本のそれに限らない)展示施設の変化だった。

簡単にいうと、アメリカでもヨーロッパでも「マンガ」をテーマにした常設展示施設が増えているのである。

先に述べた国際マンガ祭を年次開催しているフランス、アングレーム市では2009年に常設展示施設としてアングレーム・バンドデシネ・ミュージアム(後述)をオープンし、アメリカでも2021年に世界最大のコミックイベントのひとつであるサンディエゴ・コミコンを年次開催しているサンディエゴ市にコミコンと連動したパーマネントな展示施設、サンディエゴ・コミックコン・ミュージアム(後述)がつくられた。

必ずしもこうしたリアルイベントからのスピンオフではないかたちでも、ベルギーやイタリアなどヨーロッパ各国で「マンガ」のミュージアムは増えているのだ。

既存の美術館、博物館における展示を含め、こうした「マンガ」のようなポピュラーカルチャーが「ミュージアム」に入り込んできている現状について、メディア論、ミュージアム論を専門とする村田麻里子は、そもそも社会教育的な施設として想定されたミュージアム(美術館、博物館)が娯楽を目的とするポピュラーカルチャーを軽視してきたことを指摘し、にもかかわらず2000年代以降「ポピュラー文化は、ミュージアムにより多くの来館者を呼び込むための救世主として、むしろ多くのミュージアムで積極的に取り入れられていく」5というミュージアム側の事情をはっきり書いている。

「マンガ」を展示するとはどういうことか

しかし、過去に目を転じ、「マンガ」は本当に美術や芸術としての位置づけを持たなかったのかといえば、実はそのことには疑問がある。

そもそも日本においては「マンガ」も「美術」も西洋から輸入された文化、概念であり、「マンガ(漫画)」が(少なくとも一部の層からは)かつて「美術」の一部として扱われていたことを以前指摘したことがあるが6、こうした経緯は日本国内においては劇画ブームによるマンガ市場の巨大化を経た1980年代にはほとんど忘却されてしまった7

このため、現在ではマンガの美術館展示自体が手塚治虫の死後、1990年に国立近代美術館で行われた「手塚治虫展」を嚆矢とするということが通説になっている。

だが、歴史をさかのぼれば18世紀、現在のマンガの原型として位置づけられることも多いウィリアム・ホガースの連作風刺画はエングレービングなどの版画としてギャラリー展示され販売されていた。

アメリカにおいては、1930年代から新聞マンガの原画展示が通信社の協賛によりミュージアムで行われていたことがすでに指摘されている8

つまり、イラストレーションやマンガのようなコマーシャルアートとファインアートの区別や美術、芸術と大衆文化の区別は歴史的なものであり、その境界の存在や設定は自明なものではなく、その範囲も可変的なものなのだ。

むしろマンガが子ども向けの娯楽であり、大衆文化として消費され、美術館や博物館で展示されるような「価値」を持たない、という発想そのものが、第二次世界大戦後のアメリカのコミックブックでのクライムコミックスやホラーコミックスの流行以後、コミックブックというメディアに対して教育上の悪影響が指摘されるようになったことから後天的に生じたイメージだとすら考えられる9

これは先述した村田も指摘していることだが、「マンガ」と「展示」、「ミュージアム」の関係を考えるためにはマンガやポピュラーカルチャー、ミュージアムとは何かが問われる必要があるのだ。

欧米で展示される「日本マンガ」

今回の調査を通じてもう一つ明確化したことは、海外で「日本マンガ」が美術館や博物館で展示されることは「マンガ」というメディア、ジャンルを展示するだけではなく、そこに「日本文化」を海外に紹介する/海外から評価される、という意味があるということだった。

先に述べたように、21世紀に入り欧米で「マンガ」の展示や常設の専門展示施設の開館が増加していることは、アメリカやヨーロッパにおいて、それぞれの社会での「マンガ/コミックス/バンドデシネ」に対する注目度、文化的地位が上昇したことがその背景にあると思われる。

いっぽうゼロ年代の「MANGAブーム」、コロナ禍を経たことで欧米において日本のマンガがポピュラーカルチャーとして独自の市場を確立したこともたしかであり10、日本という国、地域独自の文化としての「マンガ」への関心も高まっている。

このため、「エスニックな異文化」としての日本文化に対する興味の一環として日本マンガの情報が求められている側面がある。

ただ、ここで注意すべきなのはこうした「日本文化」としての「マンガ」の展示にはベクトルが二つあるということだ。

一つは国際交流基金のような日本の公的機関や日本企業のような日本側から企画されたもので、これは公的機関の場合は各国の主要都市に設けられた日本文化会館のような施設で行われているテーマ展示、企業の場合であればコミックスコンベンションなどに合わせたポップアップイベントとしての展示だが、これらはあくまで日本側から欧米に対する「日本文化」のプレゼンテーションとしてのものである11

もう一つが欧米の日本研究の文脈から国外で企画されたものであり、こちらを代表する展示が日本国内でも大きな話題になった大英博物館で開催された大規模な日本マンガの展示「The Citi exhibition Manga」12になる。

「日本研究」という文脈

こうした欧米からの「日本文化」に対する興味、関心は「クールジャパン」のようなキャッチコピーによって、まるで均質なものであるかのように語られがちだが、実際には前者の日本の公的機関や企業を主催者とする展示は日本側からの欧米社会に対するアピールとしてのものであり、「クールジャパン」として喧伝されている欧米からのアプローチは後者に限定される。

しかも、こうしたアカデミックな「日本文化」への関心はそれぞれの国、地域における「日本研究」の文脈に深く結びついたものであり、彼らの「マンガ」への興味の持ち方自体が必ずしも現地における大衆文化としての日本マンガの受容状況を反映したものだとは限らない。

例えば大英博物館での展示を企画、キュレーションしたニコール・クーリッジ・ルマニエール(Nicole Coolidge Rousmaniere)氏はセインズベリー藝術文化研究所(The Sainsbury Institute for the Study of Japanese Arts and Cultures)の所長をつとめる「日本美術」の研究者であり、少なくともポピュラーカルチャーやコミックスの専門家とはいえないはずだ13

欧米における日本美術や日本文化の研究は西欧のそれとの対比、比較文化研究としてなされてきたものである。

そこで語られる「マンガ」の価値も必然的に、現地における単純な日本マンガの人気(ポピュラリティー)を反映したものというより、西欧社会、文化の内省のための対比物、一種の鏡として発見されたものなのではないか。

だとすると、その現象の真意を理解するためには本来は欧米の「日本研究」で何がなされてきたかを考える必要があるのではないかと思う。

前者の日本サイドからのアプローチにしろ、企業によるコマーシャルなプロモーションとしてのものはともかく、公的機関による「日本文化」のプレゼンテーションは戦後の「国際交流」という外交レベルの枠組設定に強く規定されている。

このような言い方は大仰に映るかもしれないが、現在の欧米での「マンガ」展示への注目の高まりは「芸術」や「文化」、「ミュージアム」、そして「日本」をも問い直す契機を含むものだ。

「クール」のような一元的な価値観ではなく、その実態を立体的に把握するための複眼的で丁寧な調査、研究が今後も継続して行われていくことを求めたい。

施設紹介

以下に本文中でも触れた欧米の「マンガ」専門、あるいは関連した施設を紹介する。これらの施設はアカデミックな研究対象としての「マンガ」の対象化や地方自治体の町おこし的な「マンガ」の活用、コロナ禍以降のアジア人差別に対するアジア系文化に対する関心など、さまざまな要因が複合するなかで設立、運営されている。

ビリー・アイルランド・カートゥーン・ライブラリー&ミュージアム
The Billy Ireland Cartoon Library & Museum

1977年にオハイオ州立大学が、同校の卒業生であるマンガ家、ミルトン・カニフ(Milton Caniff)から自身のオリジナルアートや創作資料の寄贈を受けたのを契機として設立したマンガの研究、展示施設。現在はコロンバス州オハイオの歴史的建造物サリバントホール内にある。

1992年にユナイテッドメディア(United Media)からロバート・ロイ・メッツ(Robert Roy Metz)の原画コレクションを、1996年にはニュースペーパー・エンタープライズ・アソシエイション(News Paper Enterprise Association)から同通信社で配信されたフィリップ・クレイグ・ラッセル(Philip Craig Russell)とリン・ジョンストン(Lynn Johnston)の作品の原画と脚本、校正刷りの寄贈をそれぞれ受けた。

1998年にはコミックス研究者のビル・ブラックベアード(Bill Blackbeard)が収集した膨大な新聞マンガの切り抜きのコレクションを寄贈され、名実ともにこの分野における世界最大のコレクションを保管する施設となった。

その後も2007年にキング・フィーチャー・シンジケート(King Feature Syndicate)から同社が配信するコミック・ストリップの校正刷りコレクションを、2008年には経営的に破綻し、当時行き場を失った形になっていたモート・ウォーカー(Mort Walker)が1974年に設立したインターナショナル・ミュージアム・オブ・カートゥーン・アート(International Museum of Cartoon Art)所蔵の原画コレクションの寄贈を受けている。

2009年にオハイオ出身のマンガ家、ウィリアム・アイルランド(William Ireland)の業績に因んだ現在の名称へと改称。2017年からは研究ジャーナル『Inks』の刊行を始め、現在の国際的なマンガ研究を主導する機関の一つになっている。

https://cartoons.osu.edu

アングレーム・バンドデシネ・ミュージアム
Le musée de la bande dessinée à Angoulême

2009年、アングレーム国際漫画祭を主催する国際文化協力団体「国際漫画・イメージ都市(Cité internationale de la bande dessinée et de l’image)」が開館した展示施設。

もともと1974年から国際漫画祭が開かれているアングレーム市は、国際漫画祭開催以前から存在するアングレーム美術館が、バンドデシネ関連の原画や資料を収集し、1983年にはその展示を専門とするギャラリースペースを設けていた。

1984年にミッテラン政権によってバンドデシネをはじめとした視覚表現、文化を振興する重点都市として位置づけられ、国立バンドデシネ・イメージ・センター(Centre national de la bande dessinée et de l’image)の設立が発表された。1989年、同センターは市内の醸造所跡地にオープンし、市内には関連するギャラリー、図書館等が次々につくられていった。

このようにアングレーム市は街全体で「マンガ(バンドデシネ)」を振興している世界的に見ても珍しい自治体であり、漫画祭期間中はイベント会場となっている市内各所での展示や映像作品の上映が行われている。

2009年に国立バンドデシネ・イメージ・センターが国際文化協力団体へと組織改編されたのに伴い、展示部門が独立し、バンドデシネの専門美術館として本ミュージアムが開館した。研究機関としてもオンラインジャーナル『Ninth Art 2.0(Neuvième art 2.0)』を運営するなど、アングレーム市はヨーロッパにおけるマンガ研究の中心であり続けている。

https://www.citebd.org

サンディエゴ・コミックコン・ミュージアム
Comic-Con Museum

1970年に第一回が開催された、カリフォルニア州サンディエゴのコミックコンは現在は10万人以上が訪れる世界最大規模のコミックコンベンションである。

現在はNPO、コミックコン・インターナショナル(Comic-Con International)が運営しており、同NPOは現在はカリフォルニア州アナハイムで行われているワンダーコン(WonderCon)、オルタナティブコミックス系の作家と出版社によるイベント、オルタナティブ・プレス・エキスポ(Alternative Press Exipo)といった別のコミックコンベンションも運営もしている。

2021年、この団体がパーマネントな展示施設としてサンディエゴ・スポーツ博物館の跡地に開設したのがサンディエゴ・コミックコン・ミュージアムである。

原画や資料のアーカイブや研究を目的にした施設ではなく、「コミックスの街サンディエゴ」を象徴する観光資源として開設された。マーベル、DCのスーパーヒーローフランチャイズやアメリカでも人気のある日本アニメをテーマにした展示を行っているアミューズメント色の強いミュージアムだといえる。

https://www.comic-con.org/museum/

ヨーロッパ・マンガ・アニメ・ミュージアム
Musée Européen du Manga et de l’Anime

2001年に設立されたフランス、アルザス地方と日本の交流を目的に設立された「アルザスにおける欧州日本研究センター(CEEJA)」が、2027年開館を目標として準備している日本のマンガ、アニメを専門に扱うミュージアム。

日本の大学等から寄贈された13万点以上の日本関連書籍コレクションを持つCEEJAは、そのコレクションの活用法を模索していたが、2017年に来日した当時のフランス貿易担当相でCEEJA前所長のオリビエ・ペシュトが視察で訪れた京都国際マンガミュージアムのコンセプトから想を受け、本ミュージアムの開設を企画立案した。

現在は事前準備期間としてミュージアム施設の施工と並行して現地でシンポジウムや展覧会などを企画、開催。2024年5月2日から6月30日までヨーロッパ初の「かわぐちかいじ展」がMEMA主催展として開催された。

https://www.mema-japon.eu

開館に向けた案内

全米日系人博物館
Japanese American National Museum

1992年にカリフォルニア州ロサンゼルス、リトルトーキョーに日系アメリカ人の歴史を保存する目的で設立された博物館。

第二次世界大戦中に強制収容された歴史を持つ日系人はアメリカ合衆国の人種的多様性を象徴する人種グループの一つであり、もともとはその特異な歴史を軸として強制収容所の記録やそれ以前、以降の日系アメリカ人の生活記録(衣料品、写真、美術品、ホームムービー等)を保存することを目的としていた。

施設内にはこの合衆国における日系人の歴史をテーマとした常設展の他、期間を区切って開催されるテーマ展のスペースがあり、ここでは日系アメリカ人や日本人による現代美術の展示も行われており、2007年からは不定期にアジア系のポピュラーカルチャーをテーマにした雑誌/ギャラリーである「ジャイアント・ロボット(Giant Robot)」とコラボレーションした「ジャイアント・ロボット・ビエンナーレ(Giant Robot Biennale)」と称する展示を企画している。この展示では日系人だけでなく、毎回日本人を含むアニメやマンガの影響を受けたアーティストの作品が展示される。

https://www.janm.org

脚注

1 “La BD à tous les étages,” Centre Pompidou, https://www.centrepompidou.fr/fr/programme/la-bd-a-tous-les-etages.
2 谷口ジロー、松本大洋、荒木飛呂彦など日本人マンガ家もこの企画から作品を発表しており、同叢書の原画展示を中心にしたテーマ展示「ルーブルNo.9~漫画、9番目の芸術」が2016~2017年、日本国内を巡回した。また、展示内容の異動までは不明だが、同一テーマの展示は2022年、ベルギーのブリュッセルコミックアート美術館(Musée de la Bande Dessinée – Bruxelles)でも行われている。
3 このため、ポンピドゥーセンターの展示の中核となる「コミック・ストリップ1964–2024(Bande dessinée, 1964–2024)」では、ヨーロッパ、アメリカ、日本のそれぞれで「マンガ」が若者文化として独自の存在感を持つようになった60年代半ばを起点にしてマンガ(ここでは、カートゥーンも含まれるが、コマが割られ複数ページにまたがって描かれた日本でいう「ストーリーマンガ」ものを主に指す)の歴史が語られる。
“Expositions: La décennie où la bande dessinée s’est réinventée,” Centre Pompidou, June 11, 2024, https://www.centrepompidou.fr/fr/magazine/article/la-decennie-ou-la-bande-dessinee-sest-reinventee.
4 『Clair Report No. 360 フランスの文化政策』(財)自治体国際化協会パリ事務所、2011年3月28日、https://www.clair.or.jp/j/forum/pub/docs/360.pdf
5 村田麻里子「エピローグ――ミュージアムの今後と、周縁的(マージナル)であることの可能性」『思想としてのミュージアム ものと空間のメディア論(増補新装版)』人文書院、2024年、249ページ。
6 小田切博「石井柏亭と「漫画」概念の確立」メディア芸術カレントコンテンツ、2022年8月30日、https://mediag.bunka.go.jp/article/article-20193/
7 実際に公募美術展である二科展は1914年の第一回から初期の数回、「漫画部門」を設けており、戦後にも1966年には「現代世界漫画展」が開催されるなど、日本国内にもカートゥーン(一コママンガ)を中心に美術的な表現としてマンガを展示する文化は存在していた。
8 Kim A. Munson, “The Evolution of COMIC ART EXHIBITIONS, 1930–1951,” Comic Art in Museums, University Press of Mississippi, 2020.
9 このアンチコミックブックヒステリーから1954年にコミックブック業界の自主規制コード「Comics Code」がつくられるが、コミックコードが及ぼした国際的な影響は、例えば以下の論集などで具体的に論じられている。
John A. Lent ed., Pulp Demons: International Dimensions of the Postwar Anti-Comics Campaign, Fairleigh Dickinson University Press, 1999.
10 例えばアメリカでの日本マンガのセールスの上昇は『Publishers Weekly』(https://www.publishersweekly.com/)のような出版専門誌や「COMICHRON」(https://www.comichron.com/index.php)に代表されるコミックス出版データを統計的に分析するサイトで頻繁に論じられるトピックになっている。
11 国際交流基金が主催した代表的なテーマ展示としては2010年代に日本を含めた世界各地を巡回している「Manga Hokusai」や「Rimpa feat. Manga」のような日本美術とマンガを組み合わせた企画展があげられる。後者の企業展示の代表的なものとしては2023年のニューヨークコミックコンに合わせて集英社が3Dウォールを活用したマンガ展示のプロモーションとして行った「MANGA DIVE at New York Comic Con」がある。
12 “The Citi exhibition: Manga,” The British Museum, https://www.britishmuseum.org/exhibitions/manga.
13 “Nicole Coolidge Rousmaniere,” The Sainsbury Institute for the Study of Japanese Arts and Cultures, https://www.sainsbury-institute.org/staff/academic-staff/nicole-coolidge-rousmaniere/.

※URLは2024年9月17日にリンクを確認済み

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