コイシ ミキ
YouTubeでビデオを発表して以来、現代アーティストとして活躍するペトラ・コートライト(Petra Cortright)。彼女がアーティストになるまでの経緯を聞いた前編に続き、後編では、近年のPhotoshopを駆使したデジタル・ペインティング、インターネット・アートの保存、NFTアート、新しいAI技術、ファッションブランドとのコラボレーションなどについて詳しくうかがいました。
――「ニューヨーク「Rhizome」のドラガン・エスペンシードに聞く インターネット・アートの保存活動(前編)」でドラガン・エスペンシードが言及したとおり、YouTubeで作品を発表した場合、YouTubeの独自の規定により突然公開停止になることがあります。実際に《VVEBCAM》は停止され、現在視聴を行えません。また、プラットフォームとしても時間の経過とともに変化し、たとえ《VVEBCAM》が現在公開されていたとしても当時と同じ環境で再生することは難しいと思います。
そこで、インターネット・アートの保存の観点から、オリジナル作品へのアクセスが永久に失われてしまうことについて、どのようにお考えですか。《VVEBCAM》はニューヨーク近代美術館(MoMA)のコレクションになっており、Rhizomeのウェブサイトで公開されていますので幸いにもそれがどのような作品であるのか振り返る手段がありますが、いかがでしょうか。
コートライト それはデジタル作品やインターネット・アートの恩恵であると同時に負担であると言えます。もっと若い頃は「インターネットは永遠だ」と思っていましたが、そうではありませんでした。Rhizomeは「NET ART ANTHOLOGY」展1 で素晴らしい仕事をしました。2004年にLimeWireからダウンロードした不正ファイルが原因で、コンピュータのハードドライブが消去されてしまい、2004年以前のファイルをすべて失いました。保持できたデータはLiveJournalやその他のオンライン投稿していたものしかなかったですが、とても感謝しました。今思えば、専門家に相談してハードドライブを復元できるかどうか確認するべきだったのですが、違法ダウンロードをしていたこともあり、データを失ってしまったのを恥ずかしく感じてその選択肢に至らなかったのです。そんななか、インターネットはある意味、私の救世主のようでした。
私はスクリーンショットがとても好きで、特に古いOSや古いバージョンのPhotoshopなどのスクリーンショットに魅力を感じるのですが、それらを永遠に完全に保存できるという考えは非現実的と思います。望むと望まざるとにかかわらず、世界は常に変化します。私は最善を尽くしますし、ほかの人たちはもっとうまくやっているでしょう。Wayback Machine2 は素晴らしいし、Rhizomeがやってのけたコンテキストの再構築は驚くべきことです。でも、続くこともあれば続かないこともあるのが人生です。
――ドラガン・エスペンシードが進めているインターネット・アートの保存の仕事についてはどのようにお考えでしょうか。
コートライト テクノロジーの進歩は非常に速いため、特定のフレームワークを参照する作品を保存することはとても困難です。私は「ああ、終わってしまった。残念。じゃあ次に進もう」という考え方です。初期のYouTubeのコンテキストの枠組みを再構築するためにドラガンとRhizomeが行ったことは私にとって驚きでした。戦わなければならなかった彼らの誠実さとエネルギーに非常に感銘を受けました。私は何が起きてもほとんど大丈夫ですが、唯一気に入らないことは、もっとつくったり、続けたりすることが許されないことです。
――アーティストの視点から、インターネット・アートを扱う美術館はどのように作品を管理するのがベストと思いますか。
コートライト 私が感じるのは、美術館は非常に動きが遅く、急速に起こることへの反応が実に遅いということです。美術館は取締役会などのプロセスがあり、特にテクノロジーベースの作品では美術館に展示される頃には古いものに感じられてしまいます。保存については、ハードドライブ以外はよくわかりません。正直、頭の痛い問題で、自分は距離を置いてほかの人に任せたいですね(笑)。
――ソーシャルメディア登場以前から、現在のソーシャルメディアで当たり前に見られるような行為をあなたは先駆けてされてきたように思いますが、YouTubeでビデオを公開した当時、写真やビデオを誰もが気軽に見せ合う時代がやって来るという予感はありましたか。
コートライト 私はただ特定の方法で参加することに興味があり、早い時期からやっていた側だったのです。それは主にYouTubeやタグ、コメントを使ったものでしたが、YouTubeという少々敵対的な環境でエフェクトをかけたセルフポートレートのビデオを公開したり、ウェブカメラの前で女性が本来あるべき振る舞いをしていなかったりすることも多々ありました。少し人をからかっていましたが、それは旺盛な好奇心と正直さによるものです。少し後にソーシャルメディアが登場するという予感はありませんでした。私のセットアップがデスクトップとラップトップのコンピュータ、ウェブカメラ、あまり知られていないソフトウェアに基づいていたのに対し、ソーシャルメディアはiPhoneに基づいていました。その二つは同じには見えませんでしたが、2013年以降、ほかのアーティストがソーシャルメディア上で始めた「セルフィー(自撮り)」のフェミニスト・アートと私の作品が一緒にカテゴライズされた時期もありました。携帯電話を使ってアートをつくることにまったく興味がなかった私にとって、それはフラストレーションでした。その枠から逃れるために抽象的なデジタル・ペインティング、そして後にランドスケープのデジタル・ペインティングへシフトしました。それは私がすでにやっていたことでしたが、あの当時はビデオから距離を置きたかったため、あえて集中して制作に取り組んだんです。
――近年、あなたが精力的に取り組んでいるデジタル・ペインティングについて聞かせてください。一つの作品は何百ものレイヤーから構成されているそうですが、あなたが「mother file(マザーファイル)」と呼ぶ、核となるファイルについて教えてください。
コートライト デジタル・ペインティングはデジタル環境で制作されているので、ほとんどすべてのブラシストロークは別個のレイヤー上にあります。少なくとも絵のすべての「要素」がさまざまな背景画像のレベルと、中間レイヤーや小さな詳細なストロークで成り立っています。下絵を描き、絵を構築するための土台をつくる伝統的な画家の仕事のやり方と似ていますが、一枚の油絵のように圧縮されたり溶け合ったりすることはありません。私はすべての小さな部品とファイルがどのように構築されたかについてのストーリーと地図を持っています。ファイルの世界、つまり「マザーファイル」のなかにはさまざまな異なる絵画があります。ピカソの絵画の進化を紹介した1956年のドキュメンタリー映画『ミステリアス・ピカソ 天才の秘密(Le mystère Picasso)』を観たとき、そのプロセスがエキサイティングで刺激的だと感じました。アートを制作するプロセスは、完成した作品にたどり着くまでのあいだ、ずっと生き続けます。私はそのプロセスを讃えるだけでなく、それを利用して多くの作品をつくりたいと思っています。
――ファイルなどのデータやアーカイブはどのように保存し管理していますか?
コートライト 絵画のすべてのバージョンは平坦化されたイメージではなく、レイヤーが保存された「PSDファイル」として保存されます。レイヤーを持たない静止画像からさかのぼって絵画のバリエーションを組み立てることはほぼ不可能です。バリエーションごとに正確にそのまま保存する必要があります。したがって、同じフォルダ内に同じ名前を共有するファイルが存在することになりますが、異なる番号が付けられています。同じフォルダ内にそれらを保管するか、関連する絵画作品ごと、あるいはソース画像を共有する絵画作品ごとのグループで保管するようにしています。
アーカイブの最良の方法は、年ごとにフォルダに保存して管理することです。したがって、2023年、2022年などの「.psd」の「作業ファイル」のフォルダ、同じように年ごとの「ビデオ」のフォルダ、「NFT」のフォルダ、「テキスト/PDF」のフォルダ、「jpeg/スクリーンショット」のフォルダに分けて管理しています。通常、コンピュータ上で過去2、3年のアクティブファイルはローカルフォルダに保存しており、それ以前の残りの「.psd」フォルダなどは、ディープアーカイブストレージとして取り出しています。そして、追加のバックアップとしてアーカイブのハードドライブを「ミラーリング」します。オンライン上にもたくさんのデータを持っています。ハードドライブを紛失した場合、確かにいくつかのものを失うでしょうが、すべてを失うわけではありません。たとえすべてを失ったとしても、仕事を妨げるものには決して依存したくありません。ハードドライブに障害が発生した場合に失う可能性のあるものは、オンライン上の「完成した」作品よりも、生のテストやメモのデータがほとんどです。私のアートディーラーもバックアップファイルを備えたハードドライブを持っています。それらを同じ場所に置かず、地理的に分散させたり、多くのものをオンラインに保存したりすることも良い方法だと思います。
――Photoshopを主に使用しますか。ほかによく使っているソフトウェアはありますか。
コートライト 私は主にPhotoshopを使用しています。時々3Dモデルや3D要素を持ち込むこともありますがメインではありません。画像の多くはネットで入手し、携帯電話やデジタルカメラで自分でも撮りますが、特別なものは何もありません。スキャンしたデータを使うこともありますが、ほとんどの場合、必要なものはオンラインで見つけられます。実際に使用する画像を探し回るのは気分が良いので、そういう方法を好んでいるんです。また、Photoshop上でカスタムブラシをたくさんつくったり、ほかの人が作成したブラシパックをダウンロードしたりしています。ワコムのタブレットで絵を描いています。
――あなたはNFTアートの制作や販売も精力的に行っています。ある記事で「私はNFTをつくるために生まれてきた」と述べられていました。アーティストが作品を発表する「場」としてのNFTについても教えてください。
コートライト その発言は間違いなく冗談でしたが(笑)、本当に言いたかったのは、私がすでに取り組んでいるネイティブなフォーマットで作品をリリースして販売するのはごく自然なことだということです。それを「印刷」して伝統的な芸術の世界に提示することは常に困難でした。作品を売る方法としてはおもしろいし、観客層も全然異なり、まだ実現していないこともたくさんありますが、その空間と関わることは、私にとって1:1の割合なのです。従来のギャラリーや美術館の形式では多くのことを我慢しなければなりませんでしたが、NFTでは大量の作品を展示するスペースがあり、それが何より気に入っています。
また、私が初めて販売した作品は、2008年にテキサス州ダラスのギャラリー「And/Or Gallery」で、2,000ドルでJPEG形式でした。作品を販売する展覧会はこれが初めてだったので「.jpeg」ファイルを作品として販売するのは問題になると思っていました。コレクターは喜んで作品を買ってくれましたが、私がつくったばかりのものにお金を払いたいと思う人がいるとは考えにくいことでした。
――現在、OpenAIによる「ChatGPT」「Midjourney」「Stable Diffusion」などの新しいAI技術が目立ちます。ところで、2015年にあなたが開催した個展「Niki, Lucy, Lola, Viola」で発表したビデオ作品ではバーチャル・ストリッパーが登場しました。現在、AIで実在しない人間などが生成されており、その作品を思い出しました。将来的にAIを制作に導入することに関心がありますか。
コートライト 「Virtua Girl」のプログラム3は1998年からあって、実在する女性をグリーンスクリーンで撮影し、コンピュータのなかで生きているかのように「デジタル化」したものです。それはまさに「ハンドメイド」です。おそらくすぐにAIがそのようなプログラムをつくりはじめるようになるでしょう。現在、非常にリアルなAI画像を見ますが、映像もすぐ後に続くと確信しています。多くのテクノロジーは常にポルノ、特にビデオストリーミングによって強化され開発されてきました。人々が好むと好まざるとにかかわらず、それはインターネットのバックボーンです。私はいつかAIをツールとして組み込むと確信していますし、著作権の問題など退屈な作業を回避するのにAIは非常に役立ちそうですね。自分の作品の要素を生成するためにAIを使うことはあっても作品全体をAIでつくるわけではありません。そうだとしたら、私からすべての楽しみを奪ってしまうでしょう。
――以前、2017年のインタビューにおいて「私はインターネットで自由に民主的に情報を共有するのが好きですが、今は必ずしもそうではありません」とあなたは発言されていました。その当時と現在とを比べるといかがでしょうか。
コートライト その頃はネット上のほとんどの人が羊のように、Facebook、Instagram、Twitter、Google、YouTubeなどのいくつかの主要なウェブサイトとアプリに囲われていました。そして、これらのプラットフォームはユーザーが投稿できること、発言できること、できないことを実際にコントロールしていました。そしてルールに従わない場合は追放されました。ドラガンが話していたことと同様に、そのプラットフォームのフレームワークを使用してコメントしている場合であっても。プラットフォームが取り締まりを始め、人々の行為を禁止したりアカウントを停止したりしはじめたことで、ここ数年はインターネット上で閉所恐怖症のような気持ちになっていました。それは多くのアーティスト、そして体制に反抗したすべての人に起こりました。暗号通貨の台頭や匿名性の必要性は驚くべきことではありません。2023年の状況は2017年よりも良くなっていると思います。例えば、Twitterは2017年よりもずっと寛容な場所です。多くの人がオンライン上の匿名性と暗号通貨、NFTなどで生計を立てています。まだまだ可能性があります。
――あなたはアイデアにあふれ、創作活動を楽しんでいるようです。日々制作はどのように行っていますか。創作の際、物語的背景を用意するのでしょうか。それとも、リアルタイムで直感的に作業するのでしょうか。
コートライト 物事を真剣に考えすぎていないとき、そして集中しているけれど遊び心があるときに仕事をするのが私にとってベストです。時々のプレッシャーは問題ありませんが、かといってそれが最高の作品を生みだすとは思いません。私はリアルタイムで実に直感的に仕事をしています。私にとって最高の経験は、事前にすべての答えを知らないことです。頭から何かを正確に再現しようとすることとは対照的に、何かを発見したときのプロセスのほうが美しいと思います。
私は毎日働いているわけではありませんし、働いたこともありません。以前は自分がやりたいときだけ仕事するという、贅沢なスタイルで仕事をしていましたが、母親としてそれはもう現実的ではないのです。親としての私の時間は分断されがちです。そのため、頻繁に自分を追い込んで仕事をしなければなりませんが、新しく見つけた制作の規律と複雑さ、そしてほんの少しの時間で達成できる集中力に自分でも驚いています。ひらめきがあればそれを積極的にアウトプットします。なぜなら、息子が何かを必要とするまでどれくらいの時間があるかわからないからです。息子のニーズは私のニーズより優先されます。子どもへの母親の役割と関係性は父親とは異なると思いますが、それはまったく別の話ですね(笑)。
――ステラ・マッカートニーとのコラボレーションで、あなたの仕事はファッション界でも注目されました。今日、ファッションとアートのコラボレーションはますます盛んですが、あなたはそれをどのように捉えていますか。
コートライト ステラと一緒に仕事ができてよかったです。彼女は私に仕事を完全に自由に一任してくれました。2013年から2014年にかけては、私の作品はあまり商業的ではなく、ファッションに適しているとも思えなかったので、当初、私の作品がぴったりだと彼らが考えていたことに驚きました。特にビデオの品質は、当時の多くのキャンペーンと比べると、とても「低クオリティ」でした。今、多くのコラボレーションを目にしますが、彼らはほとんど低予算でローファイに見えることを望んでいます。古いメディアで制作されたように見えるようにフィルターがかけられています。Z世代は90年代、2000年代のルックを好みます。私はいつも刺激的なファッションブランドとのコラボレーションを楽しんでいます。大好きなコム・デ・ギャルソンの香水のために絵をいくつか描いたこともあるんです。自分の感覚とフィットするブランドと仕事をするのは大好きですね。
――最も印象に残っている仕事やプロジェクトは何ですか。
コートライト 昨年、パームスプリングス美術館でアメリカでの初めての個展を開催しました。私たちは、210個のビデオを再生させる50個のスクリーンを備えた、一つの大きなビデオウォールを制作しました。多くのビデオはこれまで投稿や公開したことのないアーカイブからのものでした。それを見せるのは感情的に大変でしたが、自分のシステムから生み出すことは私にとって重要だったと思います。20歳から35歳という私の人生の15年間をビデオでカバーしましたが、まさに大人へと成長した期間でした。振り返ってみると1年1年がとても長く感じられ、ビデオというメディアへの興味が薄れていた私に再び興味を持たせてくれました。それと特に感じたのは、自分たちの「誤った」語りのために、私のウェブカメラの仕事を乗っ取ろうとしている人たちがいるということでした。しばらくはどう対処すればいいのかわかりませんでしたが、これだけのボリュームですべてを見ることができて助かりました。このショー以来、もう一度、私はもっとビデオを撮りたいと思うようになりました。自分自身を撮るのではなく、ほかの人を撮りはじめたいと思っています。2021年にサンフランシスコを拠点とするGX1000のスケートボーダーたちを撮影したのですが、私がほかの人を撮影したのはこれが初めてでした。こういう仕事にもっと取り組んでいきたいです。
――現在取り組んでいるプロジェクトについて教えてください。
コートライト 2023年の7月から8月にかけてオーストラリアのメルボルンにあるギャラリー「1301SW」と、ニュージーランドのオークランドにあるギャラリー「Starkwhite」でショーを予定しています。また、9月にポルトガルのブラガにあるギャラリー「Duarte Sequeira」でショーをします。スタジオではポルトガル向けに新しいアルミニウムとリネンを使った作品をいくつか制作中ですが、ショーに向けてのほとんどすべての作業がすでに完了しています。私は物事を早く終わらせるのが好きなので。また、8月にリリース予定のいくつかのビデオのNFTに取り組んでいます。
――今後実現したいことは何でしょうか。
コートライト ただ自分がすでに持っているものすべてを強化し、それをさらに発展させたいと思っています。しっかりとした安定した家族を持つことが今の最優先事項であり、常に多くのエネルギーがそこに向けられています。私はもう一人子どもを持ちたいと考えていますが難しいです。夫は血液疾患を患っていて、家族を持つための私たちの旅は長いものでした。すでに美しい息子に恵まれていますが、現在、私は「今しかない」と感じる年齢に達しているので、そこに焦点を当てています。女性アーティストにとっての要求、母親としての要求、それぞれ異なります。それは私にとって絶え間ない闘いとバランスで、かなり長い間、おそらく永遠に続くでしょうね。ですがおそらく子どもたちが大きくなるにつれて、私はもっと外側にレンズを向けて新たな挑戦ができるようになるかもしれません。今のところは、あまりアート制作のプランをたくさん立てることに前向きにはなれません。これから何が起こるのか、何をつくるのかに向き合っていくのがおもしろいですね。実際、いつも同じものを何度もつくろうとするのですが、結局は決して同じように制作できないことに気づきました。
脚注
ペトラ・コートライト(Petra Cortright)
1986年、カリフォルニア州サンタバーバラ生まれ。デジタル・ファイルの作成や操作から多面的な芸術活動を行う現代アーティスト。「ポスト・インターネット」のアート・ムーブメントで、YouTubeに投稿した動画などにより注目を集める。その後、Photoshopによりレイヤーを何層にも重ね、アルミニウム、麻布、紙、アクリル板などの素材にレンダリングし、デジタル・ペインティングの制作を始動。2D作品に加え、2018年に大理石でつくられた一連の新しい彫刻作品を公開した。彼女の絵画と同様、彫刻もデジタルのブラシストロークを捉えて表現しており、3次元のオブジェクトへ変換したものだ。アーティストとしての自身の役割は、画家、グラフィックデザイナー、編集者、プロデューサーなど多岐にわたり、スマートフォンの画面やタイムズスクエアのビルボード、そしてその間のあらゆる場所に存在する可能性がある、現代の視覚文化を芸術的に反映した唯一無二の芸術的作品へと結実している。
※インタビュー日:2023年6月24日
※URLは2023年8月22日にリンクを確認済み
>ペトラ・コートライトインタビュー――YouTubeで発表した《VVEBCAM》からデジタル・ペインティングまで[前編]