
世界的に注目を集める日本のアニメ・特撮、マンガ、ゲーム。その制作現場で生まれた原画やセル画等の貴重な資料をどのように未来へと手渡していくか。日本では、こうした資料をアーカイブする取り組みが進んでいます。その歩みの先には、これらの分野の拠点となる国立のセンターの設置も期待されるでしょう。
本シンポジウムでは、日本にそのようなセンターが設立されたらいかなる役割が求められるのかを、国際的な視点から探ります。「アニメーションの保存」をテーマに、先進的な取り組みを行う海外機関からゲストを迎え、国内の最新事例とともに未来のアーカイブの姿について意見を交わします。
開催概要
2026年2月15日(日)13:30~17:30(開場13:00)
赤坂インターシティコンファレンス 4F the AIR
3Fの入口よりお入りください。
(東京都港区赤坂1-8-1 赤坂インターシティAIR内 ※溜池山王駅 14番出口直結)
参加費:無料
参加方法:事前申込制、先着順
※以下のリンクより2月11日(水)までにお申し込みください
https://va.apollon.nta.co.jp/chukan_symp/
主催:文化庁、独立行政法人国立美術館
※日英の同時通訳
※オンラインでの同時配信は行いません
プログラム・出演者
[はじめに]
庵野 秀明(認定NPO法人アニメ特撮アーカイブ機構[ATAC] 理事長)よりメッセージ
[第一部:海外ゲストによるレクチャー]
メアリー・ウォルシュ(ウォルト・ディズニー・アニメーション・リサーチライブラリー/ウォルト・ディズニー・インク&ペイント部門 マネージングディレクター)
トム・ラーナー(ゲティ保存研究所 科学部門ヘッド)
メーガン・ドハーティ(映画芸術科学アカデミー マーガレット・へリック図書館 グラフィックアート部門 シニアマネージャー)
バタイユ・ルメール(グラフィックアート保存修復士)
[第二部:パネルディスカッション「メディア芸術ナショナルセンター(仮称)への期待」]
〈事例発表:日本におけるアニメーションのアーカイブの実践〉
近藤 文吾(株式会社バンダイナムコフィルムワークス SUNRISE Studios 制作管理部 ゼネラルマネージャー)
三好 寛(認定NPO法人アニメ特撮アーカイブ機構[ATAC] 事務局長)
吉田 夏生(国立映画アーカイブ アニメーション室 研究員)
〈海外ゲストによるディスカッション〉
モデレーター:岡本 美津子(東京藝術大学 大学院映像研究科 教授)
お問い合わせ先
独立行政法人国立美術館中間生成物保存活用委託事業事務局 国際シンポジウム事務局
電話:03-5369-4529 E-mail:chukan_symp@nta.co.jp
出演者(第一部、第二部)プロフィール

メアリー・ウォルシュ氏(ウォルト・ディズニー・アニメーション・リサーチライブラリー マネージング・ディレクター)
ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオで31年のキャリアをもち、2007年以降、アニメーション・リサーチライブラリー(ARL)とインク&ペイント(I&P)部門の指揮を執っている。現職に就く以前は、ディズニー・アニメーションにおいて、開発、制作マネジメント、人材育成・教育・採用関連業務など、10年以上にわたり複数の役職を務めてきた。
ARLでは専門チームを率いて、世界最大規模のアニメーション資料コレクションである総数6,500万点以上のオリジナル資料を適切に保存し、そのアクセスを可能にしている。ARLは、社内の新規の作品制作や商品開発を支える各種プロジェクトを手掛けるほか、外部の研究者、歴史家、作家と連携し、ウォルト・ディズニー・スタジオがアニメーションの芸術に与えた影響を研究している。
インク&ペイント部門においては、熟練した才能豊かなアーティストたちとともに、1920年代から受け継がれてきたディズニーの芸術における伝統を守っている。セルへの手作業のハンドトレスと彩色というクラシックなディズニー・アニメーションの象徴的な技法は、同部門にて現在も行われている。

メーガン・ドハーティ氏(映画芸術科学アカデミー マーガレット・へリック図書館 グラフィックアート部門 シニアマネージャー)
2021年より映画芸術科学アカデミーに勤務。現在は、マーガレット・ヘリック図書館グラフィックアート部門のシニアマネージャーとして、アニメーションの原画、プロダクションアート、衣裳デザイン、ポスターなどを含む800点以上のコレクションを統括している。アカデミーに参加する以前は、ロサンゼルス・カウンティ美術館にて現代美術のアシスタント・キュレーターを務め、映画、マルチメディア、インスタレーション作品の収蔵・プログラム運営を専門とし、「スタンリー・キューブリック展」(2012年)から「奈良美智展」(2020年)に至るまで、幅広い展覧会に携わった。また、米国国務省教育文化局による外交プログラムである「アメリカン・フィルム・ショーケース」において、広報業務も担当した。南カリフォルニア大学にて図書館情報学におけるマネジメント修士号を取得し、同大学で歴史学および映画・テレビ批評研究の学士号を修めている。

トム・ラーナー氏(ゲティ保存研究所 科学部門ヘッド)
ロサンゼルスのゲティ保存研究所(GCI)の科学部門ヘッドであり、同研究所におけるすべての科学研究を統括するとともに、視覚芸術における保存の実践を推進する各種プロジェクトを監督している。2014年より現職。GCIには2007年に上級研究員として参加し、近現代美術研究イニシアチブの設立を担当した。当初は近代絵画、プラスチック(アニメーションセルを含む)、現代屋外彫刻の保存に重点をおいていたが、その後現代美術保存のより広範な課題へと対象を拡大し、様々なシンポジウムや展覧会も開催してきた。専門は化学であり、1988年にオックスフォード大学で修士号を、1997年にロンドン大学バークベック校で博士号を取得している。さらに1991年にはロンドンのコートールド美術研究所でイーゼル絵画保存修復のポストグラデュエート・ディプロマを取得。GCIに移る以前はロンドンのテート美術館に14年間勤務した。2010年より現代美術保存のための国際ネットワーク(INCCA)諮問委員、2008年~2014年に国際博物館会議 保存国際委員会(ICOM-CC)現代材料・現代美術ワーキンググループのコーディネーターを務め、現在は国際文化財保存学会(IIC)理事兼大会委員長を務める。

バタイユ・ルメール(グラフィックアート保存修復士)
国立文化遺産学院(INP)卒業後、インディペンデントな保存修復士として、経験豊富な協力者とともにルーヴルを含む様々な保存修復プロジェクトに携わっている。
近代紙や人工的な支持体の素材のおける複雑性に特に関心を抱き、2019年、フィラデルフィア美術館にてアニメーションのセルロイドの保存修復を担当。2019〜2020年、映画『時の支配者(Les Maîtres du temps)』(ルネ・ラルー、1982年)のセルを対象として修士論文を執筆、作品の保護につかわれる薄葉紙に付着する粘着性の塗料をテーマに研究を行った。その後、国立造形芸術センター(CNAP)より助成を受け、シネマテーク・フランセーズとアヌシー城博物館(Musée-Château d’Annecy)が所蔵するセルを対象に、フランス国立博物館美術館保存修復研究センター(C2RMF)と共同研究を実施。2020〜2022年、これらのセルの主な劣化状態を記録するデータベースを構築。C2RMFによる科学分析も実施された。この研究成果をもとに、2023〜2024年、シネマテーク・フランセーズ所蔵のセルコレクションの大規模な保管環境改善プロジェクトが実施された。近年では、UPAが制作したセルの保存修復にも取り組んでいる。

岡本 美津子(東京藝術大学 大学院映像研究科 教授)
1987~2008年、日本放送協会(NHK)にて、編成、番組開発、番組制作、イベント制作、およびデジタルTV、インターネット関連業務に従事。 2008年より、東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻教授。2017年~2025年、同大学副学長を務める。大学での教育・研究活動の傍ら、プロデューサーとして、NHK Eテレ(教育テレビ)で放送中の『Eテレ0655』『Eテレ2355』や『テクネ 映像の教室』などを制作。2020年からは日本アニメーション教育ネットワーク(Japan Educational Network of Animation:JENA)代表理事、スクウェア・エニックス・ホールディングス社外取締役を歴任。本事業においては、2024年度、2025年度のアニメ収蔵検討部会の座長を務める。

近藤 文吾(株式会社バンダイナムコフィルムワークス SUNRISE Studios 制作管理部 ゼネラルマネージャー)
2001年バンダイビジュアル株式会社入社。プロデューサーとして「転生したらスライムだった件」「アイドリッシュセブン」「マクロスΔ」などのアニメ作品をプロデュース。2022年より株式会社バンダイナムコフィルムワークスのIPプロデュース部門を経て、現在は同社IP制作本部 制作管理部のゼネラルマネージャーとして、自社制作スタジオのSUNRISE Studios(サンライズスタジオ)の計数、契約、労務の管理および、自社作品の中間生成物から完成原版までを保管、管理するアーカイブへの取り組みを推進している。

三好 寛(認定NPO法人アニメ特撮アーカイブ機構[ATAC] 事務局長)
1969年10月16日生まれ。香川県出身。金沢美術工芸大学卒業。雑誌編集者を経て、2000年に株式会社スタジオジブリに入社。2001年より三鷹の森ジブリ美術館の学芸員として、展示、収集保管、調査研究などを担当。東京都現代美術館で開催された「スタジオジブリ・レイアウト展」(2008年)や「館長 庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技」(2012年)なども担当した。2015年、株式会社カラーに入社。文化事業担当学芸員の傍ら、2017年、特定非営利活動法人アニメ特撮アーカイブ機構(ATAC)設立(2023年に認定NPO法人に認定)、アニメと特撮関連作品の中間制作物を中心とした資料の収集保管、調査研究、普及啓発に携わる。本事業においては、2024年度、2025年度のアニメ収蔵検討部会の副座長を務める。

吉田 夏生(国立映画アーカイブ アニメーション室 研究員)
映画配給会社での宣伝業務、国立映画アーカイブの広報担当を経て、2025年にトロント州立大学の修士課程プログラム「Film and Photography Preservation and Collections Management」を修了。2025年8月より現職。編著に『ウィメンズ・ムービー・ブレックファスト 女性たちと映画をめぐるガイドブック』(フィルムアート社)がある。
「中間生成物保存活用委託事業事務局」について
令和6年度より、独立行政法人国立美術館内に事務局を設置し、マンガ・アニメ・特撮・ゲームの原画やセル画等の中間生成物の収集・保存・活用に係る調査研究等を行っています。
各分野の専門家を委員に迎えた「中間生成物保存活用検討委員会」を開催し、収集・保存・展示のあり方を検討する議論を深めているほか、特定の作品の資料調査を行うモデルケースの実施や海外との連携も進めています。